◆人形づくりの出会い・想い

人形作りの出会い

子供の頃から日本画家だった父の影響で創造的世界、胡粉との出会いが人形作りの原点かもしれません。 古代裂にひかれたのも岩絵の具の深い色合いが共通しているようで、私の感性にぴったりあったからだと思います ( 雛人形に古代裂を木目込みで貼っています)

雛人形の想い

私の雛人形は、祖母から買って貰ったものでした。生まれた年は昭和23年で戦後間もなくで、貧しい時代でした。そ んな時代に良く買ってくれたと思います。そのお雛様は、どこにでも置ける横25センチ縦30センチの赤い縁取りに 貝がはめ込んであるケースの中に男雛、女雛、三人官女が入っていて立派で手の込んだとはいえないお雛様ですが、チヨッ ト首が横になっていて、クスクス笑っている様なニコニコ顔の愛嬌のあるお雛様です。
子供の頃は、お雛様が飾られると家中の人形を一緒に飾りその前にお菓子を飾りました。三色の菱餅、色とりどりの雛 あられ、特別砂糖菓子は、大好きでした。お菓子もめったに買ってもらえない時代でしたから、お雛様の砂糖菓子は楽 しみの一つでした。その砂糖菓子は、砂糖だけで固めてありナス、ハス、もも、鯛などいろいろの形で、食紅で鮮やか に色づけして眺めて見ても楽しいものです。時々、母の目を盗み、摘み食いをしたものです。今でもその可愛らしいお 雛様の前にいると、タイムスリップした子供の頃のニコニコしている私がいます。そして今、お雛様を創る仕事に出会 えて、幸せを感じながら創っています。